
アルミニウムのリサイクルは、限りある資源を有効活用するための重要な手段です。企業が推進するアルミのリサイクル活動は、エネルギー消費を大幅に削減でき、環境負荷の減少に貢献します。この記事では、企業が取り組んでいるアルミニウムのリサイクルプロセスについて詳しく紹介しています。
3%のエネルギーでアルミをリサイクル
アルミニウムは、わずか3%のエネルギーでリサイクルできる、環境負荷の少ない素材です。日本では、年間約400万トンのアルミニウムが消費されており、そのうち約40%がリサイクルされた再生アルミニウムとして供給されています。比較的かんたんに溶解できることが、積極的にリサイクルされている理由のひとつです。
電力消費が少ない
新しいアルミニウムを製造する際には、原料となるボーキサイトからアルミナを抽出する過程で、大量の電力を消費します。ボーキサイト中のアルミナは、酸素やほかの物質と強く結合しており、この結合を解くには膨大な電力が欠かせません。よって、アルミニウムの新規製造は、ほかの金属に比べてエネルギー効率が低いとされています。
一方、リサイクルの際にはアルミ製品を溶解し、成分を調整するだけです。リサイクルの過程では、新たなアルミニウムの製造に比べてわずかなエネルギーしか必要としません。リサイクルに必要なエネルギーは新規製造時のたった3パーセントで済むため、アルミニウムはリサイクルの優等生と呼ばれているのです。
アルミリサイクルの工程を紹介
ここでは、アルミニウムのリサイクル工程を紹介します。いくつかの工程を経て実施されます。電解工程がないことに注目してください。
収集
アルミ缶やアルミスクラップなどを、専門の業者や問屋から引き取り集めます。
分別・前処理
効率的に溶解できるように、種類ごとに分けます。振るい機や破砕機を使用し、アルミ成分の高いツキミにします。
溶解
バーナーを使って加熱し、溶解させます。溶解する際に鉄などの異物が混入している場合、回転炉を使ってていねいに不純物を取り除きます。
絞り機
絞り機の内部で撹拌し、温度を上げながらアルミニウムのみを抽出します。溶解と絞りの工程を何度も繰り返すことで、品質がより向上します。
鋳造
注文を受けた規格にしたがって、溶けたアルミを鋳型に流し込んでインゴットにする工程です。インゴットは、通常500kg程度の大きさに鋳造されます。
分析・鎮静
溶湯内の成分を分析し、鎮静工程に移行します。この作業を経て、鋳型に流し込みます。
出荷
インゴットが完成したら計量し、梱包して製品として保管します。注文があった場合は客先へ納入します。
まとめ
アルミニウムは、わたしたちの生活になくてはならない金属であり、省エネルギーで環境負荷が低いリサイクルによる製造は、非常に重要です。環境負荷を低減するリサイクルによる製造が実施されているとはいえ、アルミニウム製品を無駄遣いしていいわけではありません。製品を大事に使うこともまた、地球環境を守るひとつの手段です。