
アルミの融点は約660℃、沸点は約2,470℃であり、軽量で高強度、高耐久などの特性をもつ素材です。アルミニウムにほかの金属や非金属の材料を加えたものをアルミニウム合金といい、それを原料として加工したものをアルミ鋳造物といいます。本記事では、アルミ鋳造製品でどのような建材が作られているのか解説します。
ファサード
アルミ鋳造物は、軽量で高耐久であるなどの特性を活かして、さまざまな建材に利用されています。たとえば、建築物の正面部分である「ファサード」では、アルミ鋳造物が多く採用されているのです。
ファサードは、建築物の正面部分であるため、建物の外観や印象を決定づける重要な要素です。この部分にデザイン性の高いパネルを用いることで、建物全体を魅力的に見せられるため、アルミ鋳造物が利用されています。
アルミ鋳造物を使ったファサードの特徴のひとつが、デザインの自由度が高いことです。鋳造の際に用いられる「Vプロセス」によって、鋳肌が非常に滑らかで美しい仕上がりとなり、立体的な形状や複雑なデザインの再現が可能になります。つまり、従来の平面的なパネルではむずかしかった個性的で立体感のあるデザインを実現可能なのです。
また、アルミは鉄より軽量でありながら耐久性にも優れているため、大型のパネルでも建物にかかる負担を軽減しつつ長期間にわたり美しい外観を保てます。なお、アルミ鋳造物によるファサードは単に見た目をよくする効果を得られるだけではありません。たとえば、断熱性や遮音性が向上し、建物内部の快適性が高まります。
さらに、周囲からの視線をやわらげる役割もあり、プライバシー保護にも役立つでしょう。これらの機能性に加え、色やデザインの選択肢が豊富で、街並みとの調和を図ることもできます。これらのことから、建物に新たな価値を付加する手段としても注目されています。
公園ファニチャー
アルミ鋳造物は、公園ファニチャーにも利用されています。具体的には、ベンチや門扉、外灯、フェンス、休憩スペースの屋根などが挙げられます。
アルミ鋳造物の公園ファニチャーは周囲の風景に溶け込み、雰囲気を損なわないだけでなく、空間を魅力的に演出してくれることがポイントです。また、デザインの自由度が高いため、公園ごとのテーマやイメージに合わせた独自のファニチャーを作ることも可能です。
機能性が高いこともポイントといえます。アルミは錆びにくく、屋外の過酷な環境下でも劣化しにくいため、メンテナンス頻度を抑えられます。さらに、リサイクル可能で環境への負荷が少ない点も、時代のニーズにマッチしているといえるでしょう。
太陽光パネル付きアルミ鋳物
駐輪場やバス停、自動販売機の上の屋根としてアルミ鋳造物を利用し、その上に太陽光パネルを設置している製品もあります。屋根部分に太陽光パネルを組み込んだ設計となっているため、パネルを取り付けるための追加工事が不要です。そのため、施工が簡単で設置費用を抑えられ、さまざまな場所で効率的に導入できるのが特徴です。
太陽光で発電した電気は、電気製品の充電などに活用できます。太陽光パネル付きアルミ鋳物は、SDGs(持続可能な開発目標)の実現を促進している現代社会のニーズとマッチしており、公共の場や商業施設などに導入されています。
さらに、アルミニウムは軽量でありながら高い強度をもつため、屋外の過酷な環境にも耐えられることもポイントです。太陽光パネルは風雨や紫外線にさらされて劣化しやすい設備ですが、アルミは錆びにくく高耐久であるため、メンテナンス頻度を減らせるでしょう。
パーゴラ
パーゴラはシェルターとも呼ばれる建材であり、日差しや雨を遮って快適な空間を作ってくれる製品です。アルミ鋳造物でできたパーゴラは、休憩スペースや通路、バス停、タクシー乗り場、自転車置き場、公園、駅前広場、カーポートなどに採用されています。
アルミ鋳物を使ったパーゴラは、デザインの自由度が高いです。そのため、さまざまな場所に適用するデザインを作れます。
また、新たに建物を建設するときだけでなく、リフォーム時にも採用できます。これにより、既存の建物に取り付けて空間をより洗練されたものにすることもできることでしょう。
さらに、アルミ鋳造物は軽量で耐久性が高いため、パーゴラに求められる雨や雪、風への耐久性が高いことも強みといえます。アルミ鋳造物でできたパーゴラは、デザイン性の機能性を両立でき、さまざまなニーズを満たせる製品です。
まとめ
今回は、アルミ鋳造物でどのような製品が作れるのかについて解説しました。アルミ鋳造物は軽量で耐久性が高く、デザインの自由度が高いことから、さまざまな建材に使用されています。たとえば、ファザードや公園ファニチャーをはじめ、太陽光パネル付きアルミ鋳物やパーゴラなどが挙げられます。雨や風、紫外線などの外的要因への耐久性が高く、リサイクル可能なこともアルミ鋳造物の魅力です。新たに建物を建てるときはもちろん、リフォームのときなどにも、アルミ鋳造物を使った建材の採用を検討してみてください。