
鋳造とは、金属を加工する際に用いられる方法のひとつで、鉄やアルミなどを高い温度で熱して液体にした後に型に流し込み、冷やして形状に固める加工方法です。そんな鋳造方法にはさまざまな種類があります。そこで今回は、主な鋳造方法7種類を一気に紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
砂型鋳造
まず、紹介するのは砂型鋳造という方法です。砂型鋳造は、木材や樹脂で空洞を形成した砂型に流し込んで鋳物を成形します。少ない数でも製造可能となっているため、試作品の製作で利用されるケースが多いです。また、難しい形やサイズの大きな成形も可能であるため、熱処理や溶接にも活躍します。
砂型を製作する際は、基本は木型を利用しています。ロストワックスなどと比較すると、安くて納期が短い点も大きな特徴といえるでしょう。挙げられるデメリットとして、寸鋳肌が荒く、寸法精度に劣る点があります。
Vプロセス鋳造
2つ目は、Vプロセス鋳造です。Vプロセス鋳造は、鋳物砂に粘結剤を使用しません。流動性に優れ、振動を利用することにより、しっかりと砂を充填でき、繊細な模様が描かれるのが大きな特徴です。そして、細かい鋳物砂を利用するため、鋳肌が美しい仕上がりになるのもポイントです。
また、造型面にプラスチック成形フィルムを利用するため、溶湯の湯回り性がよく、薄肉鋳物の製造におすすめです。そして、鋳物砂は、繰り返して再利用できるのも、大きなメリットとなります。このような特性から、Vプロセスの製品は門扉などの大型薄肉鋳物として使用されることが多いです。
消失模型鋳造
3つ目は、消失模型鋳造です。消失模型鋳造は、発泡スチロールで模型を作り、気化させて、発生した空洞に溶湯を入れる方法です。こちらは、大型製品を少数生産したい場合などにぴったりとなっています。また、抜け勾配の必要がなく、鋳バリが発生しないのも、大きな特徴です。
それ以外に、複雑な形状にも対応できる点も、消失模型鋳造のポイントとなります。デメリットを挙げるとすると、製品ひとつにひとつの模型が必要になるため、大量生産には不向きという点があります。
精密鋳造
4つ目に紹介するのは、精密鋳造です。こちらは、寸法精度や表面粗度の優れた鋳物を制作する際に用いられます。精密鋳造は、名前のとおり、精度が求められる製品の製造の際に活躍しているため、多くの業界で利用されています。
精密鋳造のなかにも、ロストワックス法・セラミックモールド法・プラスタモールド法の3種類存在しているのが特徴です。そのなかでもロストワックス法が8割以上にのぼります。そして、寸法精度が高いなどのメリットがある反面、鋳型の強度が弱いデメリットがあることも、覚えておきましょう。
重力金型鋳造
5つ目は、重力金型鋳造です。重力金型鋳造とは、重力で溶かされた金属を金型に注いで入れる鋳造法となっており、ゆっくりと金属が溶かされていくため、気密性に優れた製品が完成します。気密性が高いと、製品が割れてしまうリスクを抑えられるメリットがあります。
また、導入コストを抑えられるのも、重力金型鋳造の大きなメリットといえます。デメリットとしては、薄肉の鋳造には不向きであったり、製品を冷やすのに、時間がかかるなどの点が挙げられます。
低圧鋳造
6つ目に紹介するのは、低圧鋳造です。こちらは、金型に溶けた金属を低圧で流し込んで、鋳物を成形する加工方法となっています。
重力金型鋳造同様に、気密性が高い製品ができることで知られており、機械部品の製造に利用されるケースが多いです。例を挙げるとすると、車のアルミホイールなどがこちらの低圧鋳造で作られたりします。
そして、低圧鋳造は気密性が高い製品ができる以外にも、複雑な形状の鋳造に適しているというメリットがあります。砂中子が利用できるので、中空部品や複雑な鋳物の鋳造が実現できるのです。
デメリットとしては、コストパフォーマンスが悪い点が挙げられます。低圧鋳造は、ゆっくりと金属を流し込む加工方法となっているため、製品が完成するのに、時間がかかってしまうのです。
ダイカスト
最後に紹介するのは、ダイカストです。こちらは、アルミなどの原料を高温で溶かして、高速・高圧で金型に注入して加工する方法になります。
大量生産に向いている特徴があり、それ以外にも精密かつ効率よく製造できるため、複雑な形状にも対応可能な点も、大きなメリットといえるでしょう。このような特性から、精密さを必要とする電化製品の部品を作る際に適しています。
また、鋳物だと発生しがちな特有の鋳肌があまり見られず、表面が滑らかに寸法精度よく仕上がるのも、大きなメリットです。デメリットとしては、強度がない点やどうしても初期費用が高くなってしまう点が挙げられます。
まとめ
今回は、最新版の鋳造方法7種類を解説しました。昔から鋳造という方法は存在していましたが、近年だと分析や工学の成果により、製品に必要な成分などが分かるようになってきました。そのため、以前と比べると失敗するリスクが少なくなってきたので、働く環境も重労働がメインだったものが、管理や監視がメインとなってきて、改善されたといえるでしょう。鋳造に興味が出てきた方は、ぜひ今回の鋳造方法を参考にしてみてください。