FRPとアルミキャストの違いとは?用途別メリット・デメリットをわかりやすく比較

公開日:2025/10/01
FRPアルミキャスト

エクステリア製品や工業製品を選ぶ際、「FRP」と「アルミキャスト」という素材名を目にすることはありませんか。見た目は似ていますが、実は特性や価格、適した用途が大きく異なります。素材の違いを知らずに選んでしまうと後悔につながるかもしれません。本記事では、FRPとアルミキャストの基本的な知識から、強度や価格といった7つの具体的な違い、さらには用途別の選び方まで、専門的な内容をわかりやすく解説します。

FRPとは

FRPとは、「Fiber Reinforced Plastics」の頭文字を取った略称で、日本語では「繊維強化プラスチック」と呼ばれます。その名のとおり、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維を、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂といったプラスチックに混ぜ込んで強化した複合材料です。

FRPの最大の特徴は、プラスチックが持つ「軽量で加工しやすく、錆びない」という利点と、繊維が持つ「非常に高い強度」という利点を兼ね備えている点にあります。この特性により「鉄よりも強く、アルミよりも軽い」と称されるほどの高性能を実現しています。

アルミキャスト(アルミ鋳物)とは?

アルミキャストとは、高温で溶かしたアルミニウム合金を砂や金属で作られた「鋳型(いがた)」に流し込み、冷やし固めて作られる製品のことです。「アルミ鋳物(いもの)」とも呼ばれます。金型を用いることで、複雑な形状や精密なデザインの製品を効率よく生産できます

そんなアルミキャストの魅力は、金属ならではの重厚感と高級感のある質感です。また、アルミニウムの特性である軽量さや優れた耐食性、高いリサイクル性も受け継いでいます。液体状の金属を流し込んで成形するため、デザインの自由度が非常に高いのが特徴です。

FRPとアルミキャストの7つの違い

FRPとアルミキャストは、どちらも優れた素材ですが、その特性は大きく異なります。ここでは、7つの項目別に、FRPとアルミキャストの違いを詳しく解説します。

強度・剛性

強度と剛性において、FRPとアルミキャストは異なる特徴を示します。単位重量あたりの引張強度ではFRPが優れ、変形のしにくさを示す剛性ではアルミキャストに軍配が上がります

FRPは繊維で強化されているため、衝撃を吸収しやすく、強い力がかかっても割れにくい「しなやかさ」を持っているのが特徴です。一方、アルミキャストは金属であるため、硬くて変形しにくい性質を持ちます。

重量

重量に関しては、FRPがアルミキャストよりも圧倒的に軽いという明確な違いがあります。FRPの重量は鉄の約4分の1、アルミニウムの約3分の2程度と非常に軽量です。

この軽さは、製品の輸送コストや設置作業の負担を大幅に軽減する大きなメリットとなります。一方、アルミキャストも鉄などの他の金属に比べれば軽量ですが、FRPと比較するとずっしりとした重みがあります。軽量化を最優先事項とする場合は、FRPが最適な選択肢となるでしょう。

耐候性

屋外での使用を考えた場合、耐候性は非常に重要な比較ポイントです。FRPとアルミキャストはどちらも高い耐候性を持ちますが、劣化の特性が異なります。

FRPはプラスチックであるため、金属のように錆びることがないため、塩害の恐れがある沿岸部などでも安心して使用できます。ただし、長期間紫外線にさらされると、表面の樹脂が劣化し、色褪せや光沢の低下が起こることもあるので注意が必要です

一方、アルミキャストもアルミニウムの特性として非常に錆びにくく、高い耐食性を誇ります。しかし、過酷な環境下では表面に白い錆(酸化被膜)が発生することもあります。素材選びの際は、経年変化の違いを理解しておきましょう。

デザインの自由度

デザインの自由度においては、どちらも高いレベルにありますが、得意とする表現が異なります。細かく複雑な装飾や、シャープなエッジ表現はアルミキャストの方が得意です。これは、溶かした金属を鋳型に流し込む製法により、微細な形状まで忠実に再現できるためです。

一方、FRPも型を使って成形するため、自由度は高いですが、極端に薄い部分や鋭利な角の成形には限界があります。ただし、FRPは継ぎ目のない滑らかな曲面や、大きな一体成形品を作るのが得意です。

価格・コスト

価格・コスト面では、一概にどちらが安いとは言えず、製品の形状や生産数によって変動します。一般的に、小ロット生産や一点ものの場合は、金型が不要な場合もあるFRPの方がコストを抑えられる傾向にあるでしょう。

対照的に、アルミキャストは製品を作るための金型費用が高額になるため、初期投資が大きくなりがちです。しかし、一度金型を作ってしまえば、同じ製品を大量に生産することで一つあたりの単価を大幅に下げることが可能です。

したがって、オーダーメイド品や少量生産ではFRPが、規格品の大量生産ではアルミキャストがコスト的なメリットを発揮しやすいといえるでしょう。

質感・ビジュアル

質感やビジュアルは、両者の最も分かりやすい違いの一つです。アルミキャストは、金属ならではの重厚感と高級感が最大の魅力です。鋳物特有のザラっとした鋳肌や、研磨による滑らかな金属光沢は、FRPでは再現が難しい独特の風合いを持っています。

一方、FRPは表面が滑らかで、温かみのある質感が特徴です。塗装の自由度が非常に高く、光沢仕上げやマット仕上げ、石材調や木目調といった多彩な表現が可能です。カラフルでモダンなデザインや、軽快なイメージを求める場合に適しているでしょう。

メンテナンス性

メンテナンス性については、どちらも比較的容易ですが、補修のしやすさに違いがあります。FRP、アルミキャストともに、日常的な手入れは中性洗剤をなじませた柔らかい布で拭く程度で十分です。

万が一破損してしまった場合、FRPは部分的な補修が比較的容易に行えます。損傷した部分を削り取り、新しいFRPを積層して再塗装することで、元に近い状態に戻すことが可能です

一方で、アルミキャストは強い衝撃で割れたり欠けたりした場合、溶接などの専門的な技術が必要となり、修理は困難なケースが多くなります。長期的な使用を考慮すると、補修性の違いは重要な判断材料となるでしょう。

FRPを選ぶメリットと注意すべきデメリット

FRPを選ぶ最大のメリットは、その「軽さと強さ」、そして「耐食性の高さ」にあります。アルミキャストよりも軽量であるため、輸送や設置が容易で、建物への負担も軽減可能です。

また、鉄のように錆びることがないため、浴室や屋外、沿岸部といった厳しい環境でも長期間にわたって性能を維持します。さらに、破損した際の補修が比較的容易な点も長期的なメリットといえるでしょう。

一方で、デメリットとしては、アルミキャストに比べて剛性が低く、たわみやすい点が挙げられます。また、材料費や成形の手間からコストが高くなる点や紫外線による表面の経年劣化にも注意が必要です。

アルミキャストを選ぶメリットと注意すべきデメリット

アルミキャストの大きなメリットは、金属ならではの「高級感のある質感」と「デザイン自由度の高さ」です。溶かした金属を型に流し込む製法により、複雑で繊細なデザインも忠実に再現でき、製品に重厚感と格調高い雰囲気を与えます。

また、寸法安定性や剛性が高く、熱にも強いという特徴があります。リサイクル性に優れ、環境負荷が低い点もメリットと言えるでしょう。

一方、デメリットとしては、FRPと比較して重量があるため、輸送や設置にコストや手間がかかる点が挙げられます。さらに、強い衝撃が加わると「割れる」または「欠ける」可能性があり、一度破損すると修理が困難な場合が多いことも注意すべき点です

まとめ

この記事では、FRPとアルミキャストの7つの違いや、それぞれのメリット・デメリット、そして用途別の選び方について詳しく解説しました。素材選びの際は、それぞれの素材が持つ長所と短所を理解し、目的や用途に応じて最適な方を選択するようにしてください。コストやメンテナンス性なども含めて総合的に判断することで、後悔のない素材選びができるでしょう。本記事で得た知識が、製品選びの一助となれば幸いです。

おすすめのアルミキャスト(鋳物)建材メーカー比較表

イメージ引用元:https://asuzac-space.jp/引用元:https://hokua.com/sigmabuild引用元:https://www.komatsu-trading.co.jp/引用元:https://f-cast.com/引用元:https://www.aluteck.co.jp/引用元:https://www.angelot.co.jp/引用元:http://www.miccast.jp/引用元:https://livingspace.dnp.co.jp/arttec/
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特徴①外壁パネルや門扉などアルミキャスト建材の納入実績が豊富建築デザインに合わせ一体成型鋳造が可能なカーテンウォール製品は自社工場の熟練職人によるハンドクラフトで製造オリジナルパターンはさまざまな建物内外装に使用可能表現の幅を広げられる多種多様な装飾パーツヨーロッパ風の施工デザイン少量生産から大型製品まで対応公共から民間まで数多くの建物で採用
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