
アルミキャストフライパンは、プレスで製造されたものより温度の伝わり方が緩やかで、繊細な調理に向いている調理器具です。2種類の製造方法があり、大量生産できるダイキャスト製法では、正確な寸法で作られます。少量生産向けのグラビティ鋳造では、気泡が製品に発生するため、熱を遮る能力が高く、緩やかに温度が食材に伝わるのです。今回は、そんなアルミキャストフライパンの魅力や特徴について紹介します。ぜひ参考にしてください。
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アルミキャストフライパンの特徴
アルミキャストフライパンは、キッチン用品を専門に取り扱っているお店で目にするでしょう。フライパンの型に、熱して液状になったアルミを流し込んで形成します。
ステンレス製のフライパンと比較すると、14倍の熱伝導率を誇るため、食材をすぐ調理できます。
熱が伝わりやすいという特徴を備えながら、変形しやすい底を厚く作ることで、耐久性を向上させています。
厚い部分では、熱の伝達が緩やかになるため、温度のムラが生まれません。温度コントロールが容易になり、焦げ付きを防止できます。その結果、表面のコーティングも長く持つのです。
ただし、薄い板を加工して作るプレス製法より、底の部分が厚く作られているため、重く感じるはずです。また、値段も高めに設定されています。
製造が異なるアルミキャストフライパン
アルミキャストフライパンも製造方法によって2つに分けられます。ダイキャスト製法とグラビティ製法です。
アルミの特性は変わりませんが、気泡の有無により若干性能が異なります。
大量生産できるダイキャスト製法
ダイキャスト製法とは、高温で熱したアルミを金型の中に流し入れた後、圧力をかける方法です。
シンプルな工程で製造できるため、大量生産に向いており、完成後の表面も滑らかです。メッキやアルマイトなどの表面処理も容易です。
アルミダイキャストで作られた製品は、軽量で高強度と高精度を両立して量産でき、自動車部品や家電用品で利用されています。
少量生産向けのグラビティ鋳造
グラビティ鋳造は重力を利用して、高温で溶けたアルミを型にゆっくり流し込んでいく製法です。小さな気泡が製品の中にできます。
気泡は熱を遮る特性があり、特定の部分だけ高温になる危険性を緩和するのです。
ただし、ダイキャスト製法と比べると寸法の精度が劣ります。また、少量の生産向けです。
このように、同じ鋳物でも製造方法によって、精度や熱の伝達に差が出るため、目的に合わせて選択してください。
アルミキャストフライパンを活用する利点
アルミキャストフライパンには、多くの特徴があります。
フライパン自体が軽い、熱を加えやすい、食材の状態が把握しやすいの3つです。
フライパン自体が軽い
アルミキャストフライパンは、ほかの金属で構成されたものより軽く作られています。約850g程度のモデルも多く、体力に自信がない人でも簡単に扱えるのが特徴です。
チャーハンや炒め物といった煽る料理を作る際に、腕にかかる負担が軽減されるでしょう。持ち運ぶときも軽量のため、大きな負担になりません。
このように、アルミキャストフライパンは、軽量なモデルで料理する人の負担を軽減してくれる調理器具と判断できます。
火加減の調節が容易
アルミキャストフライパンは、高い熱伝導率を誇るため、素早く加熱調理が可能です。また、火力を調節すればすぐ食材に反映されます。
そのため、イタリアンレストランでは、パスタを作る際にアルミキャストフライパンが使われています。
このように、熱が伝わりやすいフライパンは、すぐ調理を済ませたい人に向いている調理器具です。料理に慣れている人が使えば、温度調節がすぐ反映される特徴を活かせるため、便利なアイテムといえるでしょう。
食材の状態を把握しやすい
アルミキャストフライパンは、加熱中の状態を把握しやすい調理器具です。アルミ製なので器具の内側の色が明るく、火の通りや水分の状態を目視で確認しやすいのです。
食材の加熱状態を正確に把握すれば、焦げ付きを防止できます。アルミ製の調理器具は調理状態を把握できる利点があるのです。
アルミキャストフライパンを活用するときの注意点
アルミキャストフライパンを使用する際に注意するべきポイントがあります。
黒ずむ、長時間の加熱は向かない、油がなじみにくいの3つです。
黒ずむことがある
アルミキャストフライパンは、使うと金属の性質上黒くなることがあります。
アルミが水に接触すると化学反応を起こし、水分に含まれる成分に反応すると黒くなるのです。
そのため、多くのアルミ製の調理器具ではアルマイトやテフロンといったコーティングが施されています。
調理器具の中に何も入れずにコンロの火をつけたり、調理し終えたものを放置すると、表面のコーティングにダメージが入り、内側のアルミ素材が露出します。
そのため、アルミキャストフライパンは適切な方法で使用することが重要です。
また、アルカリ性や酸性の洗剤を使うと、変色します。洗剤は中性のものを使って洗いましょう。
高温で変形する可能性がある
アルミ製のフライパンは、長い時間強火にさらされると変形する可能性があります。
熱が短時間で伝わりやすく、加熱時間を短くすることは可能ですが、揚げ物といった長時間高温になる調理には向きません。時間をかけてゆっくりと焼く料理や煮込み料理は別の調理器具を使うのが得策です。
一方で、炒め物やパスタといった、短時間かつ強火を使わない料理には適しており、アルミキャストフライパンを使うと快適に調理が可能です。
油がなじみにくい
アルミ製のフライパンは、油をなじませるのに工夫が必要です。
そのまま使うと高確率で食材がくっついてしまい、焦げ付く原因になります。必ず油を敷きましょう。薄くフライパンの底を覆うように油を伸ばし、中火以下でなじませれば準備完了です。
この工程を調理前に実施すれば、食材が焦げ付く危険が減ります。
フライパンの選び方
アルミキャストフライパンの選び方にコツがあります。購入する前に、料理をふるまう人数、底の深さ、IHに対応しているかの3つを考えましょう。
料理をふるまう人数を考える
頻繁に作る料理や人数から使用するサイズを考えてください。
ふるまう人数が2人、作る量が少なめなら22cmまでの小型調理器具がおすすめです。場所を取らず片付けも楽になります。バーベキューといったアウトドアでも活躍するでしょう。
4人分作る場合は26cmまでの大きさがおすすめです。大きめの食材を調理できます。このサイズでも、ほかの素材で製造されたものより軽量なため、調理者の負担になりません。
フライパンの深さ
フライパンには、底が深いものと浅いものがあり、目的によって使い分けます。
底が深いタイプは、ソース作りや汁物といった水を多く使う料理に有効です。底が浅いものは、持ち上げて操作しやすいため、チャーハンや食材の両面を焼く必要のある料理に活用できます。
自分がよく調理するものに合わせて選択すると後悔しません。
IH対応・非対応
アルミ製のフライパンは、基本的にIHで使用できません。ただし、底部分だけIHに反応する素材を使用しているモデルもあります。
そのため、器具を選ぶときは、IHコンロも使えるのか確認することが重要です。
オールメタルと呼ばれるIHヒーターなら、IHに対応しないアルミ製のフライパンでも問題なく使用できます。調理器具だけでなく、現在自宅にあるコンロも確認してください。
まとめ
アルミキャストフライパンは、短時間で温度が伝わりやすく、すぐ料理ができる器具です。底の部分が厚く製造されており、プレス製法より耐久性が向上しています。また、厚みのおかげで熱の伝わり方が緩やかになり、食材の焦げ付きを防止できるのです。結果として表面のコーティングも長く持ちます。火力の調節が重要となる卵料理で効果を発揮してくれるでしょう。アルミキャストフライパンは軽量な調理器具であるため、体力に自信がない人でも問題なく使用できます。持ち運ぶときも大きな負担になりません。温度管理も簡単です。熱が伝わりやすく、火力を上げればすぐ食材に反映されます。アルミは明るい色で、食材の状態を把握しやすいのです。火の入り具合や水分状態が確認でき、焦げが防止できる点が初心者にとって大きなプラスとなるでしょう。